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急性腰痛症(ギックリ腰)

急性腰痛症(ギックリ腰)とは

靴下をはこうと前に屈んだ時、重いものを中腰で持ち上げた時に腰部に激痛が走り腰を伸展できなくなることがあります。
不自然な姿勢や不用意な動作で生じた強い運動制限をともなった腰痛をギックリ腰と俗称します。
ギックリ腰とは一つの疾患ではなく急性腰痛全体をさす広い意味(広義)と、急性腰痛の中でも一部の原因を特定できないものをさす狭い意味(狭義)との二つの場合があります。


急性腰痛の原因となる代表疾患(広義のギックリ腰)

 腰椎々間板ヘルニア: 腰痛だけでなく安静時の下腿以下の痛み、シビレ、麻痺を伴います。
 腰椎々間関節症: 安静時に痛みが増強し体動とともに軽快、腰椎の後屈は痛みのために制限されます。
 筋・筋膜性腰痛症: 器質的な変化がなく予後良好な腰痛です。
 脊椎炎: 化膿性、結核性の炎症が原因で骨破壊がみられ疼痛は進行性です。
 転移性脊椎腫瘍: 肺がん、乳がんではよく脊椎転移をおこします。
 骨粗鬆症による圧迫骨折: 軽度の外傷でも起こし、寝起きの動作で激痛があります。


急性腰痛症(狭義のギックリ腰)は比較的予後良好であるため、程度が軽ければ湿布で対処してもうまくいく場合があります。整骨院などの医療類似行為で改善することもあります。それはそれで結構なのですが度重なると問題です。上記の中でも炎症性、腫瘍性、外傷性などの特異的腰痛症を狭義のギックリ腰と同じに扱われると大変困ります。進行性の病変ですので診断、治療が遅れてはいけないのです。
また腰椎々間板ヘルニアでは非常に疼痛が強く日常生活に耐えられない時期もあります。
一日も早い疼痛からの解放を考えれば坐薬、ブロック注射など積極的な治療を考えるべきと思います。早期より整形外科専門医に診断、治療を委ねることが重要です。

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ギックリ腰(狭義)の要因

変形性脊椎症、腰椎分離症、腰椎すべり症も急性腰痛の原因になります。これらの診断は症状よりもレントゲン所見でつける病名です。
レントゲンの変形の程度と症状の程度は比例しません。画像所見ではこれまでの生活における腰へのメカニカルストレスの 結果を現しますが今の痛みのメカニカルストレスを現すわけではないからです。レントゲン、CT、MRIでは大きな構造上の異常なく原因を特定できない腰痛を非特異的腰痛症といいます。急性の非特異的腰痛症が狭義のギックリ腰です。これは原因がないのではありません。椎間板内圧の上昇による繊維輪の断裂、椎体の微小骨折、椎間関節での滑膜のはさまりなどが考えられていますが現在の診断技術では捉え難いのです。原因を特定できないため医師は原因がよくわかりませんと説明して非特異的腰痛症と診断するのです。これらは腰に対する使いすぎ症候群であり 筋力不足、仕事での過密スケジュール、アライメント異状をおこす不良姿勢が要因に考えられます。


ギックリ腰(狭義)の症状の特徴

急性に発症した腰臀部痛と腰椎の著しい運動制限です。下腿部以下のしびれ疼痛はありません。
腰を軽度前屈して臥床していれば痛みはありません。体動時に痛みが増強し後屈運動が制限されます。疼痛部位の多くは左か右かの一側です。


ギックリ腰(狭義)の治療

発症したばかりの急性期には内服薬、湿布薬、理学療法、安静が基本です。症状が強い場合は安静療法を第一にし、運動療法は急性期が過ぎてから行うのが一般的な方法です。
しかし最近ではMcKenzie法、90-90牽引法で早期からの運動療法を開始する方法も報告されています。
安静期間は短期間であるほど望ましいと考え、当院でも症例によっては早期の運動療法を行っています。
急性期を過ぎた後は要因を見つけ出し、基本的知識、身体の操作方法を理解できれば自己管理で改善でき予後良好な疾患です。
「前医でレントゲンではなんともありませんと言われましたが良くなりません。」と来院される患者様に、以上のことを説明すると納得していただけます。

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